■ 同時代性とは 2007.07

 

“時代とは、常に変わるものである”

そこに異論の余地はないはずだ。

しかし、料理界の中では

古いものを軽視してみたり、

また、新しいものを拒絶してみたり、

本質的なものを論ずる上で

根本的論点がずれている人が多い。

本質的なことを言うと

繰り返しになるが

“時代とは、常に変わるものである”

何故変わるのか・・・

それをゼロから語ると

相当数の文字を割くので端折るが

そういうものであると定義した上で

大切なことは、そうした時代の変遷の中で

変わってよいものとそうでないものを

きちんと自分の中で消化した上で選択する力、

すなわち、“何が本物”であるのかを見極める力だと思う。

 

常に変わり行く時代の中では、

本当は変わってはいけないものも

姿を消すことが稀にある。

自然淘汰が真理であるならば

矛盾となる話ではあるが、

所詮人は、欲の塊であり

自分たちの都合のいいように

時として、真理までも破壊してしまう。

いつの時代もそうであったはず・・

自らの欲で歴史を破壊しながら

様々な概念を変えていくが

心の中では、いつも普遍的な真理を求めていたはずだ。


こんな大げさな前置きで料理を熱く語るつもりもないが

料理も様々な変遷を経て、21世紀の扉を開き

そして、今も尚日々新しいものが生まれている。

 

しかし、新しさは“目新しい”だけのものも多く、

その変化のスピードは、周りが言うほど

急速ではないように、僕の目には映っている。


その時代に生きる人の役割として

その時代に生まれてきた本物を大切に継承していく必要があり、

又それは、多少奇抜なものであっても本質的要素が含まれているのであれば

勇気を持って真っ直ぐに受け止めるべきだと思っている。

 

面倒になってきたので強引に話を〆ると・・

同時代性とは、その時代性を勝ち得てはじめて普遍性を勝ち得るのではないだろうか。