■ フランス料理の変遷 2003.07


フランス料理は 文化であり

素材と技術の 融合である。

そして 伝統とは創造である

守るのではなく 取り込み 壊し

人間の内なる創造力により 生み出されるものだ。

 

21世紀のクラッシックを 今 多くの料理人が模索している

弛まない 自然の流れの中で 淘汰され

残るものの中に ある種の 真実が隠されている

それは 本質と呼ばれる 類のものだ

現代の ガストロノミックの本質とは

"素材感"である。

古典料理の殻を 破るきっかけとなったキーワードが

"素材を生かす"ことであった。

それまで 用いられていた 技法とは、

むしろ 素材の欠点を補うものであったのに変わり、

より簡素に よりライトに美しく 皿を構成することで、

素材の鮮度や 本来の味を 前面に打ち出すことに成功したのが

フランス料理界の新しいムーヴメント

ヌーヴェル・キュイジーヌである。

しかし そのムーヴメントから もう30年以上経っており

未だ 次のステージが見えてこない。

新世代のシェフにより 次々と新しい創作がなされたが

根本を覆すに 至らなかった。

つまりは "素材を生かす"というキーワードの中に
普遍的な 料理の本質があるように 私は思う。

その 生かし方は 時代と共に

これからも 変化して行くのだろう

私が今 掲げている

"北の食材をモチーフにした料理"も まさにそれであり

この 土地で生まれ 生きた人間であるからこそ出来る

表現を 探している。

きっと 満足のいく 表現が出来るようになるまで

かなりの 遠回りが必要なのだろうと おぼろげに感じている。

 

それは 全て"人間性"なのだと云うこと だけは

ハッキリと 認識しているのだが

自分の人間性を 高める為に 一体何が必要で

今 どうするべきなのか と云うのは

具体的には 分からない。

云えることは "毎日をクリアに生きる"

これしか ないのかもしれない。

自分にとって 日々の料理とは、

料理を作る為の 毎日ではなく

毎日を清く 生きる為の 料理なんだろう・・・・